スポーツにおける経済格差

ワールドカップを見ていて思った事。

 

先進国は経済が安定し、物質的にも豊かだから有利である。

と言う事ではない。

 

プレイヤーに対する評価についてである。

サッカーは詳しくないので、野球で例を挙げよう。

 

メジャーリーグの球団が選手を獲得する時の適正価格はどのように決まるのだろうか。

 

まずはその選手が」どれだけ活躍して、チームの勝利に貢献出来るかが重要であると言うのは言うまでもない。

プロスポーツ選手として、実力があれば金銭的なインセンティブが得られるのは当然の事である。

 

加えてタレント的要素も含まれるだろう。イケメンだったり、個性的な経歴やバックボーンを持っていればメディアに取り上げられたりするなど、個人的に名前を売り出す事が出来て宣伝効果が大きくチームにとっても価値が高くなる。

 

この視点から考えると、スポーツ選手の市場での価値が、その選手の国籍によっても左右される事が分かるだろう。

 

具体的な例を挙げると、現在ニューヨークヤンキースでプレーする田中将大選手の年俸(7年で1億5000万ドル)は妥当なのか。
仮に彼がアフリカの貧しい国の出身で、今の様な実力を持っていたとしたら、これだけの給料を支払ってまでヤンキースが取りに行くだろうか。(アフリカにいたら彼の才能は発掘されていないだろうという仮説は無視する)

 

答えはNOだろう。

 

球団側は、選手の実力だけに金を払っている訳ではない。
その選手が生み出す経済効果や宣伝効果も含まれるのは当然であり、それらのバリューは、国家レベルの経済格差によって生み出されている。

田中選手がヤンキースに行く事で、日本のメディアがこぞってヤンキースタジアムに取材に向かい、多くのファンが試合を観戦するために足を運ぶ事になるだろう。アフリカであったらこういった行動はなかなか起こらない。田中選手の年俸は、日本経済の強さや日本の生活水準の高さも織り込まれたプライシングであると考えられる。

野球を知らない日本人は今までヤンキースなんて知らなかっただろうが、今では、(黒田選手、イチロー選手の影響もあるが)知らない人はいないだろう。逆に言うとヤンキースにとって日本は、知名度を上げたいと思えるマーケットであり、投資の価値があるため、日本人メジャーリーガーの年収は高いと考えられる。

 

 

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このように、スポーツ選手の市場価格に経済格差があると言うのは事実だが、決して悪い事だけではないと思っている。
貧しい国の選手の市場価格が低い事は、球団側としては獲得しやすいという反面もあると考えられる。
日本人選手一人を雇う金額で、新興国の選手が数人獲得出来ると言うのは、ある意味後者にとっての好機であり、矛盾するようだが、最終的には実力があればアメリカンドリームを掴むチャンスが開かれていると言う事でもあると思う。